第三章の三 信用格付業者 

    第一節 総則 


(登録) 
第六十六条の二十七  信用格付業を行う法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。次条第一項第二号及び第六十六条の四十七を除き、以下この章において同じ。)は、内閣総理大臣の登録を受けることができる。 

(登録の申請) 
第六十六条の二十八  前条の登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した登録申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。この場合において、外国法人は、国内における代表者(当該外国法人が信用格付業を行うため国内に設けるすべての営業所又は事務所の業務を担当するものに限る。)又はこれに準ずるものとして内閣府令で定める者を定めて当該登録申請書を提出しなければならない。 
一  商号又は名称 
二  役員(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものの代表者又は管理人を含む。以下この章において同じ。)の氏名又は名称 
三  信用格付業を行う営業所又は事務所(外国法人にあつては、本店及び国内における主たる営業所又は事務所その他の営業所又は事務所)の名称及び所在地 
四  他に事業を行つているときは、その事業の種類 
五  その他内閣府令で定める事項 
2  前項の登録申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 
一  第六十六条の三十第一項第二号及び第三号に該当しないことを誓約する書面 
二  信用格付業の業務の内容及び方法として内閣府令で定める事項を記載した書類 
三  定款及び会社の登記事項証明書(これらに準ずるものを含む。) 
四  その他内閣府令で定める書類 
3  前項第三号の場合において、定款が電磁的記録で作成されているときは、書類に代えて電磁的記録(内閣府令で定めるものに限る。)を添付することができる。 

(登録簿への登録) 
第六十六条の二十九  内閣総理大臣は、第六十六条の二十七の登録の申請があつた場合においては、次条の規定により登録を拒否する場合を除くほか、次に掲げる事項を信用格付業者登録簿に登録しなければならない。 
一  前条第一項各号に掲げる事項 
二  登録年月日及び登録番号 
2  内閣総理大臣は、信用格付業者登録簿を公衆の縦覧に供しなければならない。 

(登録の拒否) 
第六十六条の三十  内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。 
一  法人でない者 
二  第二十九条の四第一項第一号イ又はロに該当する法人 
三  役員のうちに第二十九条の四第一項第二号イからトまでのいずれかに該当する者のある法人 
四  他に行つている事業が公益に反すると認められる法人 
五  信用格付業を公正かつ的確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない法人 
2  内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、登録申請者が外国法人である場合には、国内に営業所又は事務所を有しないときはその登録を拒否しなければならない。ただし、当該登録申請者が信用格付業の業務に相当すると認められる業務を行う者に対する監督を行う外国の行政機関その他これに準ずるものの適切な監督を受けると認められる場合として内閣府令で定める場合又はこの項本文の規定により登録を拒否することが条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることとなる場合は、この限りでない。 

(変更の届出) 
第六十六条の三十一  信用格付業者は、第六十六条の二十八第一項各号に掲げる事項について変更があつたときは、その日から二週間以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 
2  内閣総理大臣は、前項の規定による届出を受理したときは、届出があつた事項を信用格付業者登録簿に登録しなければならない。 
3  信用格付業者は、第六十六条の二十八第二項第二号に掲げる書類に記載した事項について変更があつたときは、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 
    第二節 業務 


(誠実義務) 
第六十六条の三十二  信用格付業者並びにその役員及び使用人は、独立した立場において公正かつ誠実にその業務を遂行しなければならない。 

(業務管理体制の整備) 
第六十六条の三十三  信用格付業者は、信用格付業を公正かつ的確に遂行するため、内閣府令で定めるところにより、業務管理体制を整備しなければならない。 
2  前項に規定する業務管理体制は、専門的知識及び技能を有する者の配置その他の業務の品質を管理するための措置並びに自己又は格付関係者(信用格付の対象となる事項に関し利害を有する者として内閣府令で定める者をいう。第六十六条の三十五において同じ。)の利益を図る目的をもつて投資者の利益を害することを防止するための措置その他業務の執行の適正を確保するための措置を含むものでなければならない。 

(名義貸しの禁止) 
第六十六条の三十四  信用格付業者は、自己の名義をもつて、他人に信用格付業を行わせてはならない。 

(禁止行為) 
第六十六条の三十五  信用格付業者又はその役員若しくは使用人は、その行う信用格付業に関して、次に掲げる行為をしてはならない。 
一  信用格付業者又はその役員若しくは使用人が格付関係者と内閣府令で定める密接な関係を有する場合において、当該格付関係者が利害を有する事項として内閣府令で定める事項を対象とする信用格付を提供し、又は閲覧に供する行為 
二  格付関係者に対し当該格付関係者に係る信用格付に重要な影響を及ぼすべき事項として内閣府令で定める事項に関して助言を行つた場合(格付関係者からの求めに応じ、次条第一項に規定する格付方針等の内容を告げた場合その他助言の態様に照らして投資者の保護に欠けるおそれが少ないと認められる場合として内閣府令で定める場合を除く。)において、当該信用格付を提供し、又は閲覧に供する行為 
三  前二号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、又は信用格付業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為 

(格付方針等) 
第六十六条の三十六  信用格付業者は、内閣府令で定めるところにより、信用格付を付与し、かつ、提供し又は閲覧に供するための方針及び方法(次項において「格付方針等」という。)を定め、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。 
2  信用格付業者は、格付方針等に従い、信用格付業の業務を行わなければならない。 
    第三節 経理 


(業務に関する帳簿書類) 
第六十六条の三十七  信用格付業者は、内閣府令で定めるところにより、信用格付業に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。 

(事業報告書の提出) 
第六十六条の三十八  信用格付業者は、事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、事業報告書を作成し、毎事業年度経過後政令で定める期間内に、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。 

(説明書類の縦覧) 
第六十六条の三十九  信用格付業者は、事業年度ごとに、業務の状況に関する事項として内閣府令で定めるものを記載した説明書類を作成し、毎事業年度経過後政令で定める期間を経過した日から一年間、これをすべての営業所又は事務所に備え置き、公衆の縦覧に供するとともに、内閣府令で定めるところにより、インターネットの利用その他の方法により公表しなければならない。 
    第四節 監督 


(廃業等の届出等) 
第六十六条の四十  信用格付業者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、当該各号に定める者は、その日から三十日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 
一  信用格付業を廃止したとき(分割により事業(信用格付業に係るものに限る。以下この条において同じ。)の全部を承継させたとき、又は事業の全部を譲渡したときを含む。) その信用格付業を廃止し、又は承継をさせ、若しくは譲渡をした法人 
二  信用格付業者である法人が合併により消滅したとき その法人を代表する役員であつた者 
三  信用格付業者である法人が破産手続開始の決定により解散したとき その破産管財人 
四  信用格付業者である法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散したとき その清算人 
2  信用格付業者が前項各号のいずれかに該当することとなつたときは、当該信用格付業者の第六十六条の二十七の登録は、その効力を失う。 
3  信用格付業者は、第六十六条の二十七の登録の抹消の申請をし、信用格付業の廃止をし、合併(当該信用格付業者が合併により消滅する場合の当該合併に限る。)をし、合併及び破産手続開始の決定以外の理由による解散をし、分割による事業の全部の承継をさせ、又は事業の全部の譲渡をしようとするときは、その日の三十日前までに、内閣府令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。 
4  信用格付業者は、前項の規定による公告をしたときは、直ちに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 
5  会社法第九百四十条第一項(第一号に係る部分に限る。)及び第三項の規定は、信用格付業者(会社に限る。)が電子公告により第三項の規定による公告をする場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。 
6  会社法第九百四十条第一項(第一号に係る部分に限る。)及び第三項、第九百四十一条、第九百四十六条、第九百四十七条、第九百五十一条第二項、第九百五十三条並びに第九百五十五条の規定は、信用格付業者(外国会社に限る。)が電子公告により第三項の規定による公告をする場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。 

(業務改善命令) 
第六十六条の四十一  内閣総理大臣は、信用格付業者の業務の運営の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該信用格付業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 

(監督上の処分) 
第六十六条の四十二  内閣総理大臣は、信用格付業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該信用格付業者の第六十六条の二十七の登録を取り消し、又は六月以内の期間を定めて信用格付業の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。 
一  第六十六条の三十第一項各号(第三号を除く。)のいずれかに該当することとなつたとき。 
二  第六十六条の三十第二項の規定により登録を拒否すべき事由に該当することとなつたとき。 
三  不正の手段により第六十六条の二十七の登録を受けたとき。 
四  信用格付業に関し法令又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき。 
五  信用格付業の運営に関し、投資者の利益を害する事実があるとき。 
六  信用格付業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき。 
2  内閣総理大臣は、信用格付業者の役員(外国法人にあつては、国内における営業所若しくは事務所に駐在する役員又は国内における代表者に限る。以下この項において同じ。)が、第二十九条の四第一項第二号イからトまでのいずれかに該当することとなつたとき、第六十六条の二十七の登録当時既に同号イからトまでのいずれかに該当していたことが判明したとき、又は前項第四号から第六号までのいずれかに該当することとなつたときは、当該信用格付業者に対して、当該役員の解任を命ずることができる。 
3  内閣総理大臣は、信用格付業者の営業所若しくは事務所の所在地を確知できないとき、又は信用格付業者を代表する役員の所在を確知できないときは、内閣府令で定めるところにより、その事実を公告し、その公告の日から三十日を経過しても当該信用格付業者から申出がないときは、当該信用格付業者の登録を取り消すことができる。 
4  前項の規定による処分については、行政手続法第三章の規定は、適用しない。 

(監督処分の公告) 
第六十六条の四十三  内閣総理大臣は、前条第一項若しくは第三項の規定により第六十六条の二十七の登録を取り消し、又は前条第一項の規定により業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。 

(登録の抹消) 
第六十六条の四十四  内閣総理大臣は、信用格付業者から第六十六条の二十七の登録の抹消の申請があつたとき、第六十六条の四十第二項の規定により第六十六条の二十七の登録がその効力を失つたとき、又は第六十六条の四十二第一項若しくは第三項の規定により第六十六条の二十七の登録を取り消したときは、当該登録を抹消しなければならない。 

(報告の徴取及び検査) 
第六十六条の四十五  内閣総理大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、信用格付業者、これと取引をする者、当該信用格付業者から業務の委託を受けた者若しくは当該信用格付業者の関係法人(当該信用格付業者の子法人、当該信用格付業者を子法人とする法人又は当該信用格付業者を子法人とする法人の子法人(当該信用格付業者を除く。)であつて、信用格付の付与又は提供若しくは閲覧に供する行為を業として行う法人をいう。以下この項において同じ。)に対し当該信用格付業者の業務に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に当該信用格付業者、当該信用格付業者から業務の委託を受けた者若しくは当該信用格付業者の関係法人の業務の状況若しくは書類その他の物件の検査(当該信用格付業者から業務の委託を受けた者又は当該信用格付業者の関係法人にあつては、当該信用格付業者の業務に関し必要な検査に限る。)をさせることができる。 
2  前項の「子法人」とは、法人がその総株主等の議決権の過半数を保有する他の法人をいう。この場合において、法人及びその一若しくは二以上の子法人又は当該法人の一若しくは二以上の子法人がその総株主等の議決権の過半数を保有する他の法人は、当該法人の子法人とみなす。 
    第五節 雑則 


(職務代行者) 
第六十六条の四十六  内閣総理大臣は、信用格付業者(外国法人に限る。以下この条において同じ。)の国内における代表者が欠けた場合において、必要があると認めるときは、一時その職務を行うべき者(次項において「職務代行者」という。)を選任することができる。この場合において、当該信用格付業者は、国内における主たる営業所又は事務所の所在地において、その登記をしなければならない。 
2  内閣総理大臣は、前項の規定により職務代行者を選任したときは、信用格付業者に対し、当該職務代行者に相当額の報酬を支払うべき旨を命ずることができる。 

(外国法人等に対するこの法律の規定の適用に当たつての技術的読替え等) 
第六十六条の四十七  信用格付業者が外国法人又は法人でない団体で代表者若しくは管理人の定めのあるものである場合において、この法律の規定の適用に当たつての技術的読替えその他当該外国法人又は法人でない団体で代表者若しくは管理人の定めのあるものに対するこの法律の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 

(準用) 
第六十六条の四十八  第五十七条第一項及び第三項の規定は第六十六条の二十七の登録について、第五十七条第二項及び第三項並びに第六十五条の六の規定は信用格付業者について、それぞれ準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。 

(内閣府令への委任) 
第六十六条の四十九  第六十六条の二十七から前条までの規定を実施するための手続その他必要な事項は、内閣府令で定める。