第三章の二 金融商品仲介業者 

    第一節 総則 


(登録) 
第六十六条  銀行、協同組織金融機関その他政令で定める金融機関以外の者(第一種金融商品取引業(第二十八条第一項に規定する第一種金融商品取引業をいう。以下この章において同じ。)を行う者及び登録金融機関の役員及び使用人を除く。)は、第二十九条の規定にかかわらず、内閣総理大臣の登録を受けて、金融商品仲介業を行うことができる。 

(登録の申請) 
第六十六条の二  前条の登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した登録申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 
一  商号、名称又は氏名 
二  法人であるときは、その役員の氏名又は名称 
三  金融商品仲介業を行う営業所又は事務所の名称及び所在地 
四  委託を受ける金融商品取引業者(第一種金融商品取引業又は投資運用業(第二十八条第四項に規定する投資運用業をいう。第六十六条の十四第一号ハにおいて同じ。)を行う者に限る。)又は登録金融機関(以下この章及び第四章において「所属金融商品取引業者等」という。)の商号又は名称 
五  他に事業を行つているときは、その事業の種類 
六  その他内閣府令で定める事項 
2  前項の登録申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 
一  第六十六条の四第一号又は第二号に該当しないことを誓約する書面 
二  金融商品仲介業の業務の内容及び方法として内閣府令で定めるものを記載した書類 
三  法人であるときは、定款及び会社の登記事項証明書(これらに準ずるものを含む。) 
四  その他内閣府令で定める書類 
3  前項第三号の場合において、定款が電磁的記録で作成されているときは、書類に代えて電磁的記録(内閣府令で定めるものに限る。)を添付することができる。 

(登録簿への登録) 
第六十六条の三  内閣総理大臣は、第六十六条の登録の申請があつた場合においては、次条の規定により登録を拒否する場合を除くほか、次に掲げる事項を金融商品仲介業者登録簿に登録しなければならない。 
一  前条第一項各号に掲げる事項 
二  登録年月日及び登録番号 
2  内閣総理大臣は、金融商品仲介業者登録簿を公衆の縦覧に供しなければならない。 

(登録の拒否) 
第六十六条の四  内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。 
一  登録申請者が個人であるときは、第二十九条の四第一項第二号イからトまでのいずれかに該当する者 
二  登録申請者が法人であるときは、次のいずれかに該当する者
イ 第二十九条の四第一項第一号イ又はロに該当する者
ロ 役員のうちに第二十九条の四第一項第二号イからトまでのいずれかに該当する者のある者 
三  他に行つている事業が公益に反すると認められる者 
四  金融商品仲介業を適確に遂行することができる知識及び経験を有しないと認められる者 
五  登録申請者の所属金融商品取引業者等のいずれかが協会(認可金融商品取引業協会又は第七十八条第二項に規定する認定金融商品取引業協会をいう。)に加入していない者 
六  金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る。) 

(変更の届出) 
第六十六条の五  金融商品仲介業者は、第六十六条の二第一項各号に掲げる事項について変更があつたときは、その日から二週間以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 
2  内閣総理大臣は、前項の規定による届出を受理したときは、届出があつた事項を金融商品仲介業者登録簿に登録しなければならない。 
3  金融商品仲介業者は、第六十六条の二第二項第二号に掲げる書類に記載した業務の内容又は方法について変更があつたときは、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 

(商号等の使用制限) 
第六十六条の六  金融商品仲介業者でない者は、金融商品仲介業者という商号若しくは名称又はこれに紛らわしい商号若しくは名称を用いてはならない。 
    第二節 業務 


(顧客に対する誠実義務) 
第六十六条の七  金融商品仲介業者並びにその役員及び使用人は、顧客に対して誠実かつ公正に、その業務を遂行しなければならない。 

(標識の掲示) 
第六十六条の八  金融商品仲介業者は、営業所又は事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、内閣府令で定める様式の標識を掲示しなければならない。 
2  金融商品仲介業者以外の者は、前項の標識又はこれに類似する標識を掲示してはならない。 

(名義貸しの禁止) 
第六十六条の九  金融商品仲介業者は、自己の名義をもつて、他人に金融商品仲介業を行わせてはならない。 

(広告等の規制) 
第六十六条の十  金融商品仲介業者は、その行う金融商品仲介業の内容について広告その他これに類似するものとして内閣府令で定める行為をするときは、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を表示しなければならない。 
一  当該金融商品仲介業者の商号、名称又は氏名 
二  金融商品仲介業者である旨及び当該金融商品仲介業者の登録番号 
三  当該金融商品仲介業者の行う金融商品仲介業の内容に関する事項であつて、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものとして政令で定めるもの 
2  金融商品仲介業者は、その行う金融商品仲介業に関して広告その他これに類似するものとして内閣府令で定める行為をするときは、金融商品取引行為を行うことによる利益の見込みその他内閣府令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。 

(商号等の明示) 
第六十六条の十一  金融商品仲介業者は、第二条第十一項各号に掲げる行為(以下この章において「金融商品仲介行為」という。)を行おうとするときは、あらかじめ、顧客に対し次に掲げる事項を明らかにしなければならない。 
一  所属金融商品取引業者等の商号又は名称 
二  所属金融商品取引業者等の代理権がない旨 
三  第六十六条の十三の規定の趣旨 
四  その他内閣府令で定める事項 

(金融商品仲介業者に係る制限) 
第六十六条の十二  金融商品仲介業者(金融商品取引業者である者を除く。)は、その行う金融商品仲介業の顧客を相手方とし、所属金融商品取引業者等の委託を受けて行う金融商品仲介行為以外の第二条第八項各号に掲げる行為をしてはならない。 

(金銭等の預託の禁止) 
第六十六条の十三  金融商品仲介業者は、いかなる名目によるかを問わず、その行う金融商品仲介業に関して、顧客から金銭若しくは有価証券の預託を受け、又は当該金融商品仲介業者と密接な関係を有する者として政令で定める者に顧客の金銭若しくは有価証券を預託させてはならない。 

(禁止行為) 
第六十六条の十四  金融商品仲介業者又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。 
一  金融商品仲介業に関連し、次に掲げるいずれかの行為を行うこと。
イ 第三十八条第一号に該当する行為
ロ 第三十八条第二号から第六号までに該当する行為
ハ 投資助言業務(第二十八条第六項に規定する投資助言業務をいう。ハにおいて同じ。)を行う場合には当該投資助言業務に係る助言に基づいて顧客が行う有価証券の売買その他の取引等又は投資運用業を行う場合には当該投資運用業に係る運用として行う有価証券の売買その他の取引等に関する情報を利用してこれらの顧客以外の顧客に対して勧誘する行為
ニ 金融商品仲介業以外の業務を行う場合には当該業務により知り得た有価証券の発行者に関する情報(有価証券の発行者の運営、業務又は財産に関する公表されていない情報であつて金融商品仲介業に係る顧客の投資判断に影響を及ぼすものに限る。)を利用して勧誘する行為
ホ 金銭の貸付けその他信用の供与をすることを条件として勧誘する行為(投資者の保護に欠けるおそれが少ないと認められるものとして内閣府令で定めるものを除く。)
二  金融商品仲介業により知り得た金融商品仲介業に係る顧客の有価証券の売買その他の取引等に係る注文の動向その他特別の情報を利用して、自己の計算において有価証券の売買その他の取引等を行う行為 
三  前二号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品仲介業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為 

(特定投資家向け有価証券の売買の媒介等の制限) 
第六十六条の十四の二  金融商品仲介業者は、特定投資家向け有価証券について、一般投資家(特定投資家等、当該特定投資家向け有価証券の発行者その他内閣府令で定める者以外の者をいう。以下この条において同じ。)を相手方として、第二条第十一項第一号又は第二号に掲げる行為を行つてはならない。ただし、当該特定投資家向け有価証券に関して開示が行われている場合、一般投資家に対する勧誘に基づかないで所属金融商品取引業者等のために買付けの媒介を行う場合その他投資者の保護に欠けるおそれが少ない場合として内閣府令で定める場合は、この限りでない。 

(損失補てん等の禁止等に関する金融商品取引業者等に係る規定の準用) 
第六十六条の十五  第三十八条の二、第三十九条第一項、第三項及び第五項並びに第四十条の規定は金融商品仲介業者について、第三十九条第二項及び第四項の規定は金融商品仲介業者の顧客について、それぞれ準用する。この場合において、同条第三項中「当該金融商品取引業者等が」とあるのは、「当該金融商品仲介業者の所属金融商品取引業者等が」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。 
    第三節 経理 


(業務に関する帳簿書類) 
第六十六条の十六  金融商品仲介業者は、内閣府令で定めるところにより、金融商品仲介業に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。 

(事業報告書の提出等) 
第六十六条の十七  金融商品仲介業者は、事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、金融商品仲介業に関する報告書を作成し、毎事業年度経過後三月以内に、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。 
2  金融商品仲介業者は、内閣府令で定めるところにより、事業年度ごとに、前項の報告書に記載されている事項のうち投資者の保護に必要と認められるものとして内閣府令で定めるものを記載した書面を作成し、これを金融商品仲介業を行うすべての営業所又は事務所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。 

(説明書類の縦覧) 
第六十六条の十八  金融商品仲介業者は、内閣府令で定めるところにより、所属金融商品取引業者等の事業年度ごとに、所属金融商品取引業者等が第四十六条の四又は第四十七条の三の規定(当該所属金融商品取引業者等が登録金融機関である場合には、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二十一条第一項及び第二項その他政令で定める規定)により作成する説明書類を金融商品仲介業を行うすべての営業所又は事務所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。 
    第四節 監督 


(廃業等の届出等) 
第六十六条の十九  金融商品仲介業者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、当該各号に定める者は、その日から三十日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 
一  金融商品仲介業を廃止したとき(分割により事業(金融商品仲介業に係るものに限る。以下この号において同じ。)の全部を承継させたとき、又は事業の全部を譲渡したときを含む。) その金融商品仲介業を廃止し、又は承継をさせ、若しくは譲渡をした個人又は法人 
二  金融商品仲介業者である個人が死亡したとき その相続人 
三  金融商品仲介業者である法人が合併により消滅したとき その法人を代表する役員であつた者 
四  金融商品仲介業者である法人について破産手続開始の決定があつたとき その破産管財人 
五  金融商品仲介業者である法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散したとき その清算人 
2  金融商品仲介業者が前項各号のいずれかに該当することとなつたとき、所属金融商品取引業者等がなくなつたとき、又は第二十九条の登録(当該登録を受けた金融商品取引業者が第一種金融商品取引業を行うものに限る。)を受けたときは、当該金融商品仲介業者の第六十六条の登録は、その効力を失う。 

(監督上の処分) 
第六十六条の二十  内閣総理大臣は、金融商品仲介業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品仲介業者の第六十六条の登録を取り消し、六月以内の期間を定めて業務の全部又は一部の停止を命じ、業務の方法の変更を命じ、その他監督上必要な事項を命ずることができる。 
一  第六十六条の四第一号から第五号まで(第二号ロを除く。)に該当することとなつたとき。 
二  不正の手段により第六十六条の登録を受けたとき。 
三  金融商品仲介業に関し法令又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき。 
2  内閣総理大臣は、金融商品仲介業者の役員が、第二十九条の四第一項第二号イからトまでのいずれかに該当することとなつたとき、又は前項第三号に該当する行為をしたときは、当該金融商品仲介業者に対して、当該役員の解任を命ずることができる。 

(登録の抹消) 
第六十六条の二十一  内閣総理大臣は、第六十六条の十九第二項の規定により第六十六条の登録がその効力を失つたとき、又は前条第一項の規定により第六十六条の登録を取り消したときは、当該登録を抹消しなければならない。 

(報告の徴取及び検査) 
第六十六条の二十二  内閣総理大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、金融商品仲介業者若しくはこれと取引をする者に対し当該金融商品仲介業者の金融商品仲介業務に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員をして当該金融商品仲介業者の金融商品仲介業務の状況若しくは書類その他の物件の検査をさせることができる。 

(準用) 
第六十六条の二十三  第五十七条第一項及び第三項の規定は第六十六条の登録について、第五十七条第二項及び第三項並びに第六十五条の六の規定は金融商品仲介業者について、それぞれ準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。 
    第五節 雑則 


(所属金融商品取引業者等の賠償責任) 
第六十六条の二十四  金融商品仲介業者の所属金融商品取引業者等は、その委託を行つた金融商品仲介業者が金融商品仲介業につき顧客に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、当該所属金融商品取引業者等がその金融商品仲介業者への委託につき相当の注意をし、かつ、その者の行う金融商品仲介行為につき顧客に加えた損害の発生の防止に努めたときは、この限りでない。 

(準用) 
第六十六条の二十五  第六十四条から第六十四条の九まで(第六十四条の七第二項を除く。)の規定は、金融商品仲介業者について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。 

(内閣府令への委任) 
第六十六条の二十六  第六十六条から前条までの規定を実施するための手続その他必要な事項は、内閣府令で定める。