第七章 雑則 


(報告及び立入り) 
第三十三条  公安委員会は、この法律の施行に必要があると認めるときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、この法律の施行に必要な限度において、指定暴力団員その他の関係者に対し報告若しくは資料の提出を求め、又は警察職員に事務所に立ち入り、物件を検査させ若しくは指定暴力団員その他の関係者に質問させることができる。 
2  前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 
3  第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。 

(意見聴取) 
第三十四条  公安委員会は、第十一条第二項、第十二条第一項、第十二条の二、第十二条の四第一項、第十二条の六第二項、第十五条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。次条、第三十九条及び第四十二条第一項において同じ。)、第十八条第二項若しくは第三項、第十九条、第二十二条第二項、第二十三条、第二十六条第二項、第二十七条、第三十条の四、第三十条の五第一項、第三十条の七第二項から第四項まで、第三十条の十第二項又は第三十条の十一第一項の規定による命令をしようとするときは、公開による意見聴取を行わなければならない。ただし、命令に係る者がした暴力的要求行為若しくは準暴力的要求行為、第十六条、第二十四条、第三十条の六第一項前段若しくは第三十条の九の規定に違反する行為若しくは第三十条の五第一項に規定する暴力行為の相手方又は第三十条の四に規定する請求者若しくはその配偶者等に係る個人の秘密又は事業上の秘密の保護のためやむを得ないと認めるときは、意見聴取を公開しないことができる。 
2  前項の意見聴取を行う場合において、公安委員会は、当該命令に係る者に対し、命令をしようとする理由並びに意見聴取の期日及び場所を相当の期間をおいて通知し、かつ、意見聴取の期日及び場所を公示しなければならない。 
3  意見聴取に際しては、当該命令に係る者又はその代理人は、当該事案について意見を述べ、かつ、有利な証拠を提出することができる。 
4  第十二条の二の規定による命令に係る第一項の意見聴取を行う場合において、当該命令に係る者が当該命令に係る暴力的要求行為をした指定暴力団員の出頭及び意見の陳述を求めたときは、公安委員会は、これを許可することができる。 
5  公安委員会は、当該命令に係る者又はその代理人が正当な理由がなくて出頭しないとき、又は当該命令に係る者の所在が不明であるため第二項の規定による通知をすることができず、かつ、同項の規定による公示をした日から起算して三十日を経過してもその者の所在が判明しないときは、第一項の規定にかかわらず、意見聴取を行わないで同項に規定する命令をすることができる。 
6  前各項に定めるもののほか、第一項の意見聴取の実施について必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。 

(仮の命令) 
第三十五条  公安委員会は、緊急の必要がある場合においては、前条第一項の規定にかかわらず、同項の意見聴取を行わないで、仮に、第十一条第二項、第十二条の四第一項、第十二条の六第二項、第十五条第一項、第十八条第二項、第十九条、第二十二条第二項、第二十三条、第二十六条第二項、第二十七条、第三十条の四、第三十条の五第一項、第三十条の七第二項、第三十条の十第二項又は第三十条の十一第一項の規定(以下この条において「第十一条第二項、第十二条の四第一項、第十二条の六第二項等の規定」という。)による命令をすることができる。 
2  前項の規定による命令(以下「仮の命令」という。)の効力は、仮の命令をした日から起算して十五日とする。 
3  公安委員会は、仮の命令をしたときは、当該仮の命令をした日から起算して十五日以内に、公開による意見聴取を行わなければならない。 
4  公安委員会がした仮の命令が第十五条第一項、第三十条の四、第三十条の五第一項、第三十条の七第二項及び第三十条の十一第一項に係るもの以外のものである場合において、当該仮の命令を受けた者の当該仮の命令に係る違反行為をした時における住所(当該違反行為をした者が指定暴力団員である場合で当該指定暴力団員の住所が明らかでないときにあっては、当該指定暴力団員の所属する指定暴力団等の主たる事務所。以下この項において「住所等」という。)が当該仮の命令をした公安委員会以外の公安委員会の管轄区域内に在るときは、当該仮の命令をした公安委員会は、前項の規定にかかわらず同項の意見聴取を行うことなく、速やかに、当該仮の命令をした旨をその者の住所等の所在地を管轄する公安委員会に通知しなければならない。この場合において、通知を受けた公安委員会は、当該仮の命令があった日から起算して十五日以内に、公開による意見聴取を行わなければならない。 
5  前条第一項ただし書、第二項、第三項及び第六項の規定は、前二項の意見聴取について準用する。この場合において、同条第二項中「命令をしようとする理由」とあるのは「仮の命令をした理由」と、「相当の期間をおいて」とあるのは「速やかに」と読み替えるものとする。 
6  公安委員会は、第三項又は第四項の意見聴取の結果、仮の命令が不当でないと認めたときは、前条第一項の規定にかかわらず、同項の意見聴取を行わないで第十一条第二項等の規定による命令をすることができる。 
7  第十一条第二項等の規定による命令をしたときは、仮の命令は、その効力を失う。 
8  公安委員会は、第三項又は第四項の意見聴取の結果、仮の命令が不当であると認めた場合は、直ちに、その命令の効力を失わせなければならない。 
9  仮の命令に係る者の所在が不明であるため第五項において準用する前条第二項の規定による通知をすることができないことにより又は仮の命令に係る者若しくはその代理人が出頭しないことにより、第三項又は第四項の意見聴取を行うことができず、かつ、次に掲げる命令をするため、当該仮の命令があった日から起算して十五日以内に同条第一項の意見聴取に係る同条第二項の規定による公示がされているときは、第二項の規定にかかわらず、当該仮の命令の効力は、当該意見聴取の期日(同条第五項の規定に該当する場合にあっては、当該意見聴取に係る公示をした日から起算して三十日を経過する日)までとする。 
一  当該仮の命令に係る違反行為に関する第十一条第二項等の規定(第十五条第一項、第三十条の四、第三十条の五第一項及び第三十条の十一第一項の規定を除く。)による命令 
二  当該仮の命令に係る指定暴力団等の事務所に関する第十五条第一項又は第三十条の十一第一項の規定による命令 
三  当該仮の命令に係る請求に関する第三十条の四の規定による命令 
四  当該仮の命令に係る暴力行為に関する第三十条の五第一項の規定による命令 

(公安委員会の報告等) 
第三十六条  公安委員会は、暴力団の活動の状況、暴力団の事務所の所在地その他暴力団の実態を把握して、これらに関する事項を国家公安委員会に報告しなければならない。 
2  国家公安委員会は、前項の規定による報告に基づき、報告に係る暴力団の主たる事務所と認められる事務所を決定し、その旨を各公安委員会に通報するものとする。 
3  公安委員会は、指定暴力団員に対しこの法律の規定による命令をした場合における当該命令の内容、命令の日時その他指定暴力団等又は指定暴力団員に係る事項で国家公安委員会が定めるものを国家公安委員会に報告しなければならない。この場合において、国家公安委員会は、当該報告に係る事項を各公安委員会に通報するものとする。 
4  公安委員会は、第三条、第四条、第十五条の二第一項(同条第四項において準用する場合を含む。第三十九条第十一号において同じ。)及び第三十条の八第一項の規定による指定並びにこの法律の規定による命令をするについて必要があるときは、官庁、公共団体その他の者に、これらの指定又は命令をするため参考となるべき資料の閲覧又は提供その他の協力を求めることができる。 

(不服申立て等) 
第三十七条  第三条又は第四条の規定による指定に不服がある者は、国家公安委員会に審査請求をすることができる。 
2  国家公安委員会は、指定暴力団等の指定についての審査請求に対する裁決に当たっては、国家公安委員会規則で定めるところにより、審査専門委員の意見を聴かなければならない。 
3  指定暴力団等の指定の取消しを求める訴えは、当該指定についての審査請求に対する国家公安委員会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。 

(審査専門委員) 
第三十八条  国家公安委員会に、第三条又は第四条の規定による指定暴力団等の指定に係る確認及び不服申立てについて、第三条第一号又は第四条第二号の要件に関する専門の事項を調査審議し、意見を提出させるため、審査専門委員若干人を置く。 
2  審査専門委員は、人格が高潔であって、指定暴力団等の指定に関し公正な判断をすることができ、かつ、法律又は社会に関する学識経験を有する者のうちから、国家公安委員会が任命する。 
3  審査専門委員の任期その他審査専門委員に関し必要な事項は、政令で定める。 

(命令等を行う公安委員会) 
第三十九条  この法律における公安委員会は、次の各号に掲げる事項に関しては、当該各号に定める公安委員会とする。 
一  第五条第二項の規定による通知及び公示 同条第一項の意見聴取に係る指定をしようとする暴力団の主たる事務所の所在地を管轄する公安委員会 
二  第五条第一項の意見聴取 同条第二項の規定による公示をした公安委員会 
三  第三条又は第四条の規定による指定 第五条第一項の意見聴取に係る公安委員会 
四  第八条第二項又は第三項の規定による指定の取消し 指定の取消しをしようとする指定暴力団等の主たる事務所の所在地を管轄する公安委員会 
五  第十一条第二項、第十二条第一項、第十二条の四第一項、第十二条の六第二項、第十八条第二項若しくは第三項、第十九条、第二十二条第二項、第二十三条、第二十六条第二項、第二十七条、第三十条の七第三項若しくは第三十条の十第二項の規定による命令(仮の命令を除く。)又はこれらの命令に係る第三十四条第一項の意見聴取 当該命令又は意見聴取に係る違反行為が行われた時における当該違反行為を行った者の住所地(当該違反行為を行った者が指定暴力団員である場合で当該指定暴力団員の住所が明らかでないときにあっては、当該指定暴力団員の所属する指定暴力団等の主たる事務所の所在地)を管轄する公安委員会 
六  第十二条の二の規定による命令又は当該命令に係る第三十四条第一項の意見聴取当該命令又は意見聴取に係る暴力的要求行為が行われた時における当該命令又は意見聴取に係る第十二条の二各号に定める指定暴力団員の住所地(当該指定暴力団員の住所が明らかでない場合にあっては、当該指定暴力団員の所属する指定暴力団等の主たる事務所の所在地)を管轄する公安委員会 
七  第十一条第一項、第十二条第二項、第十二条の六第一項、第十八条第一項、第二十二条第一項、第二十六条第一項、第三十条、第三十条の三、第三十条の七第一項若しくは第二項若しくは第三十条の十第一項の規定による命令若しくは第十五条第一項、第三十条の四、第三十条の五第一項及び第三十条の十一第一項の規定に係る仮の命令以外の仮の命令又は第三十条の七第二項の規定による命令に係る第三十四条第一項の意見聴取 当該命令又は意見聴取に係る違反行為が行われた場所を管轄する公安委員会 
八  第十三条の規定による援助 第十一条又は第十二条の六の規定による命令をした公安委員会 
九  第十四条第一項の規定による援助又は同条第二項の規定による講習 当該援助又は講習に係る事業者の主たる事業所の所在地を管轄する公安委員会 
十  第十五条第一項若しくは第三十条の十一第一項の規定による命令(これらの規定に係る仮の命令を含む。)又はこれらの命令に係る第三十四条第一項の意見聴取 当該命令又は意見聴取に係る事務所の所在地を管轄する公安委員会 
十一  第十五条の二第一項又は第三十条の八第一項の規定による指定 これらの規定による指定において定めようとする区域を管轄する公安委員会 
十二  第三十条の四の規定による命令(同条の規定に係る仮の命令を含む。)又は当該命令に係る第三十四条第一項の意見聴取 当該命令又は意見聴取に係る第三十条の二各号に掲げる請求が行われた時における当該請求の相手方である指定暴力団員の住所地(当該指定暴力団員の住所が明らかでない場合にあっては、当該指定暴力団員の所属する指定暴力団等の主たる事務所の所在地)を管轄する公安委員会 
十三  第三十条の五第一項の規定による命令(同項の規定に係る仮の命令を含む。)又は当該命令に係る第三十四条第一項の意見聴取 当該命令又は意見聴取に係る暴力行為が行われた時における当該暴力行為を行った指定暴力団員の住所地(当該指定暴力団員の住所が明らかでない場合にあっては、当該指定暴力団員の所属する指定暴力団等の主たる事務所の所在地)を管轄する公安委員会 
十四  第三十条の七第四項の規定による命令又は当該命令に係る第三十四条第一項の意見聴取 当該命令又は意見聴取に係る違反行為が行われた時における当該違反行為を行った者の主たる営業所(当該違反行為を行った者が営業を営む者の代理人、使用人その他の従業者である場合にあっては、その者が勤務する営業所)の所在地(これらの営業所がない場合にあっては、当該違反行為が行われた時における当該違反行為を行った者の住所地)を管轄する公安委員会 
十五  第三十二条の三第一項の規定による指定、同条第五項の規定による命令又は同条第六項の規定による取消し 同条第一項の規定による申出を受け、又は指定をした公安委員会 

(命令等に係る書類の送達) 
第三十九条の二  この法律の規定による命令又は指示は、国家公安委員会規則で定める書類を送達して行う。ただし、第十一条第一項、第十二条第二項、第十二条の六第一項、第十八条第一項、第二十二条第一項、第二十六条第一項、第三十条、第三十条の三、第三十条の七第一項又は第三十条の十第一項の規定による命令については、緊急を要するため当該書類を送達するいとまがないときは、口頭ですることができる。 
2  前項の規定により送達すべき書類について、その送達を受けるべき者の住所及び居所が明らかでない場合には、当該命令又は指示をする公安委員会は、その送達に代えて公示送達をすることができる。 
3  公示送達は、送達すべき書類の名称、その送達を受けるべき者の氏名及び公安委員会がその書類をいつでも送達を受けるべき者に交付する旨を当該公安委員会の掲示板に掲示して行う。 
4  前項の場合において、掲示を始めた日から起算して二週間を経過したときは、書類の送達があったものとみなす。 

(警察庁長官への権限の委任) 
第四十条  この法律又はこの法律に基づく命令の規定により国家公安委員会の権限に属する事務(第六条第一項の規定による確認及び同条第二項の規定による意見聴取、第八条第四項の規定による確認、第三十七条第一項の規定による審査請求及び同条第二項の規定による意見聴取並びに第三十八条第二項の規定による任命に係るものを除く。)は、政令で定めるところにより、警察庁長官に委任することができる。 

(方面公安委員会への権限の委任) 
第四十一条  この法律又はこの法律に基づく政令の規定により道公安委員会の権限に属する事務は、次に掲げる事務を除き、政令で定めるところにより、方面公安委員会に委任することができる。 
一  第三条及び第四条の規定による指定 
二  第五条第一項の意見聴取 
三  第六条第一項及び第八条第四項の規定による確認の請求 
四  第六条第四項及び第八条第五項の規定による通知の受理 
五  第七条第一項(第八条第七項において準用する場合を含む。)及び第七条第四項の規定による公示 
六  第七条第三項(第八条第七項において準用する場合を含む。)の規定による通知 
七  第八条第二項及び第三項の規定による指定の取消し 

(公安委員会の事務の委任) 
第四十二条  公安委員会は、仮の命令に関する事務、第十二条の四第二項の規定による指示(緊急の必要がある場合におけるものに限る。)に関する事務、第十五条第一項の規定に係る仮の命令に係る同条第四項及び第五項に規定する事務並びに第三十条の十一第一項の規定に係る仮の命令に係る同条第三項及び第四項に規定する事務を警視総監又は道府県警察本部長に行わせることができる。 
2  方面公安委員会は、前条の規定により道公安委員会から委任された事務のうち、前項の事務を方面本部長に行わせることができる。 
3  公安委員会は、第十一条第一項、第十二条第二項、第十二条の六第一項、第十八条第一項、第二十二条第一項、第二十六条第一項、第三十条、第三十条の三、第三十条の七第一項又は第三十条の十第一項の規定による命令を警察署長に行わせることができる。 

(行政手続法 の適用除外) 
第四十三条  第二章から第四章の二まで及びこの章の規定による命令については、行政手続法第三章 の規定は、適用しない。 

(経過措置) 
第四十四条  この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。 

(国家公安委員会規則への委任) 
第四十五条  この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。