第六章 暴力団員による不当な行為の防止等に関する国等の責務及び民間活動の促進 


(国及び地方公共団体の責務) 
第三十二条  国及び地方公共団体は、次に掲げる者をその行う売買等の契約に係る入札に参加させないようにするための措置を講ずるものとする。 
一  指定暴力団員 
二  指定暴力団員と生計を一にする配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。) 
三  法人その他の団体であって、指定暴力団員がその役員となっているもの 
四  指定暴力団員が出資、融資、取引その他の関係を通じてその事業活動に支配的な影響力を有する者(前号に該当するものを除く。) 
2  国及び地方公共団体は、前項に規定する措置を講ずるほか、その事務又は事業に関する暴力団員による不当な行為の防止及びこれにより当該事務又は事業に生じた不当な影響の排除に努めなければならない。 
3  国及び地方公共団体は、事業者、国民又はこれらの者が組織する民間の団体(次項において「事業者等」という。)が自発的に行う暴力排除活動(暴力団員による不当な行為を防止し、及びこれにより事業活動又は市民生活に生じた不当な影響を排除するための活動をいう。同項において同じ。)の促進を図るため、情報の提供、助言、指導その他必要な措置を講ずるものとする。 
4  国及び地方公共団体は、事業者等が安心して暴力排除活動の実施に取り組むことができるよう、その安全の確保に配慮しなければならない。 

(事業者の責務) 
第三十二条の二  事業者は、不当要求による被害を防止するために必要な第十四条第一項に規定する措置を講ずるよう努めるほか、その事業活動を通じて暴力団員に不当な利益を得させることがないよう努めなければならない。 

(都道府県暴力追放運動推進センター) 
第三十二条の三  公安委員会は、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当すると認められる者を、その申出により、都道府県に一を限って、都道府県暴力追放運動推進センター(以下「都道府県センター」という。)として指定することができる。 
一  暴力団員による不当な行為の防止及びこれによる被害の救済に寄与することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であること。 
二  次項第三号から第五号までの事業(以下「相談事業」という。)に係る相談の申出人、暴力団の影響を受けている少年又は暴力団から離脱する意志を有する者(第三項において「相談の申出人等」という。)に対する助言について、専門的知識経験を有する者として国家公安委員会規則で定める者(以下「暴力追放相談委員」という。)が置かれていること。 
三  その他次項に規定する事業を適正かつ確実に行うために必要なものとして国家公安委員会規則で定める基準に適合すること。 
2  都道府県センターは、当該都道府県の区域において、次に掲げる事業を行うものとする。 
一  暴力団員による不当な行為の予防に関する知識の普及及び思想の高揚を図るための広報活動を行うこと。 
二  暴力団員による不当な行為の予防に関する民間の自主的な組織活動を助けること。 
三  暴力団員による不当な行為に関する相談に応ずること。 
四  少年に対する暴力団の影響を排除するための活動を行うこと。 
五  暴力団から離脱する意志を有する者を助けるための活動を行うこと。 
六  公安委員会の委託を受けて第十四条第二項の講習を行うこと。 
七  不当要求情報管理機関(不当要求に関する情報の収集及び事業者に対する当該情報の提供を業とする者をいう。)の業務を助けること。 
八  暴力団員による不当な行為の被害者に対して見舞金の支給、民事訴訟の支援その他の救援を行うこと。 
九  風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 (昭和二十三年法律第百二十二号)第三十八条 に規定する少年指導委員に対し第四号 の事業の目的を達成するために必要な研修を行うこと。 
十  前各号の事業に附帯する事業 
3  都道府県センターは、相談事業を行うに当たっては、相談の申出人等に対する助言については、暴力追放相談委員に行わせなければならない。 
4  都道府県センターは、住民から暴力団員による不当な行為に関する相談の申出があったときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、その相談に係る事項の迅速かつ適切な解決に努めなければならない。 
5  公安委員会は、都道府県センターの財産の状況又はその事業の運営に関し改善が必要であると認めるときは、都道府県センターに対し、その改善に必要な措置を採るべきことを命ずることができる。 
6  公安委員会は、都道府県センターが前項の規定による命令に違反したときは、第一項の指定を取り消すことができる。 
7  都道府県センターの役員若しくは職員(暴力追放相談委員を含む。)又はこれらの職にあった者は、相談事業に係る業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 
8  都道府県センターは、その業務の運営について都道府県警察と密接に連絡するものとし、都道府県警察は、都道府県センターに対し、その業務の円滑な運営が図られるように必要な配慮を加えるものとする。 
9  第一項の指定の手続その他都道府県センターに関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。 

(全国暴力追放運動推進センター) 
第三十二条の四  国家公安委員会は、暴力団員による不当な行為の防止及びこれによる被害の救済に寄与することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であって、次項に規定する事業を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申出により、全国に一を限って、全国暴力追放運動推進センター(以下「全国センター」という。)として指定することができる。 
2  全国センターは、次に掲げる事業を行うものとする。 
一  暴力団員による不当な行為の予防に関する知識の普及及び思想の高揚を図るための二以上の都道府県の区域における広報活動を行うこと。 
二  暴力追放相談委員その他都道府県センターの業務を行う者に対する研修を行うこと。 
三  少年の健全な育成に及ぼす暴力団の影響その他の暴力団の市民生活に与える影響に関する調査研究を行うこと。 
四  都道府県センターの事業について、連絡調整を行うこと。 
五  前各号の事業に附帯する事業 
3  前条第五項、第六項、第八項及び第九項の規定は、全国センターについて準用する。この場合において、同条第五項及び第六項中「公安委員会」とあるのは「国家公安委員会」と、同条第八項中「都道府県警察」とあるのは「国家公安委員会及び警察庁」と読み替えるものとする。