第四章の二 特定危険指定暴力団等の指定等 


(特定危険指定暴力団等の指定) 
第三十条の八  公安委員会は、次の各号のいずれかに掲げる行為が行われた場合において、指定暴力団員又はその要求若しくは依頼を受けた者が当該行為に関連して凶器を使用して人の生命又は身体に重大な危害を加える方法による暴力行為を行ったと認められ、かつ、当該指定暴力団員の所属する指定暴力団等の指定暴力団員又はその要求若しくは依頼を受けた者が更に反復して同様の暴力行為を行うおそれがあると認めるときは、一年を超えない範囲内の期間及び当該暴力行為により人の生命又は身体に重大な危害が加えられることを防止するため特に警戒を要する区域(以下この章において「警戒区域」という。)を定めて、当該指定暴力団等を特定危険指定暴力団等として指定するものとする。 
一  当該指定暴力団等の指定暴力団員がした暴力的要求行為又は当該指定暴力団等の指定暴力団員がした第十二条の三の規定に違反する行為に係る準暴力的要求行為であって、その相手方が拒絶したもの 
二  当該指定暴力団等の指定暴力団員がした第三十条の二の規定に違反する行為 
2  公安委員会は、前項の規定による指定をした場合において、当該指定の有効期間が経過した後において更にその指定の必要があると認めるときは、一年を超えない範囲内で期間を定めて、その指定の期限を延長することができる。当該延長に係る期限が経過した後において、これを更に延長しようとするときも、同様とする。 
3  公安委員会は、必要があると認めるときは、警戒区域を変更することができる。 
4  第五条及び第七条の規定は、第一項の規定による指定について準用する。この場合において、第五条第一項ただし書中「個人の秘密」とあるのは「第三十条の八第一項各号に掲げる行為又は同項の暴力行為の相手方に係る個人の秘密又は事業上の秘密」と、第七条第一項中「その他の」とあるのは「、第三十条の八第一項に規定する警戒区域その他の」と、同条第四項中「事項」とあるのは「事項(第三十条の八第一項に規定する警戒区域を除く。)」と読み替えるものとする。 
5  第五条の規定は第三項の規定による警戒区域の変更(当該変更により新たな区域が当該警戒区域に含まれることとなるものに限る。)について、第七条第一項から第三項までの規定は第三項の規定による警戒区域の変更について、それぞれ準用する。この場合において、第五条第一項ただし書中「個人の秘密」とあるのは「第三十条の八第一項各号に掲げる行為又は同項の暴力行為の相手方に係る個人の秘密又は事業上の秘密」と、第七条第一項中「その他の」とあるのは「、第三十条の八第一項に規定する警戒区域その他の」と読み替えるものとする。 
6  第一項の規定により特定危険指定暴力団等として指定された指定暴力団連合が第三条の規定により指定暴力団として指定された場合において、当該指定暴力団連合に係る第四条の規定による指定が第八条第三項の規定により取り消されたときは、第一項の規定により当該指定暴力団連合について公安委員会がした指定は、同項の規定により当該指定暴力団について当該公安委員会がした指定とみなす。 
7  第一項の規定により特定危険指定暴力団等として指定された指定暴力団等に係る第三条又は第四条の規定による指定(以下この項において「旧指定」という。)の有効期間が経過した場合において、当該指定暴力団等について引き続き第三条又は第四条の規定による指定(以下この項において「新指定」という。)がされたときは、第一項の規定により旧指定に係る指定暴力団等について公安委員会がした指定は、新指定に係る指定暴力団等について引き続きその効力を有する。 

(特定危険指定暴力団等の指定暴力団員の禁止行為) 
第三十条の九  特定危険指定暴力団等の指定暴力団員は、暴力的要求行為を行う目的で、警戒区域において又は警戒区域における人の生活若しくは業務の遂行に関して、その相手方に対し、次に掲げる行為をしてはならない。 
一  面会を要求すること。 
二  電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、又は電子メール(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)第二条第一号に規定する電子メールをいう。)を送信すること。 
三  つきまとい、又はその居宅若しくは事業所の付近をうろつくこと。 

(特定危険指定暴力団等の指定暴力団員の禁止行為に対する措置) 
第三十条の十  公安委員会は、特定危険指定暴力団等の指定暴力団員が前条の規定に違反する行為をしており、その相手方の生活の平穏又は業務の遂行の平穏が害されていると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。 
2  公安委員会は、特定危険指定暴力団等の指定暴力団員が前条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、同条の規定に違反する行為が行われることを防止するために必要な事項を命ずることができる。 

(特定危険指定暴力団等の事務所の使用制限) 
第三十条の十一  公安委員会は、警戒区域内に在る特定危険指定暴力団等の事務所が、第三十条の八第一項の暴力行為に関し、当該特定危険指定暴力団等の指定暴力団員により次の各号に掲げる用に供されており、又は供されるおそれがあると認めるときは、当該事務所に係る管理者又は当該事務所を現に使用している指定暴力団員に対し、三月以内の期間を定めて、当該事務所を当該各号の用又は当該特定危険指定暴力団等の活動の用に供してはならない旨を命ずることができる。 
一  多数の指定暴力団員の集合の用 
二  当該暴力行為のための謀議、指揮命令又は連絡の用 
三  当該暴力行為に供用されるおそれがあると認められる凶器その他の物件の製造又は保管の用 
2  公安委員会は、前項の規定による命令をした場合において、当該命令の有効期間が経過した後において更にその命令の必要があると認めるときは、三月以内の期間を定めて、その命令の期限を延長することができる。当該延長に係る期限が経過した後において、これを更に延長しようとするときも、同様とする。 
3  公安委員会は、第一項の規定による命令をしたときは、当該事務所の出入口の見やすい場所に、当該管理者又は当該事務所を現に使用していた指定暴力団員が当該事務所について同項の命令を受けている旨を告知する国家公安委員会規則で定める標章を貼り付けるものとする。 
4  公安委員会は、前項の規定により標章を貼り付けた場合において、第一項の規定による命令の期限(第二項の規定によりその延長が行われたときは、その延長後の期限。以下この条において同じ。)が経過したとき、第三十条の八第三項の規定による警戒区域の変更により当該標章を貼り付けた事務所の所在地が警戒区域に含まれないこととなったとき、又は当該期限内において当該標章を貼り付けた事務所が第一項各号の用に供されるおそれがなくなったと認めるときは、当該標章を取り除かなければならない。 
5  何人も、第三項の規定により貼り付けられた標章を損壊し、又は汚損してはならず、また、当該標章を貼り付けた事務所に係る第一項の規定による命令の期限が経過し、第三十条の八第三項の規定による警戒区域の変更により当該標章を貼り付けた事務所の所在地が警戒区域に含まれないこととなり、又は次条第一項の規定により当該特定危険指定暴力団等に係る第三十条の八第一項の規定による指定が取り消された後でなければ、これを取り除いてはならない。 

(特定危険指定暴力団等の指定の取消し) 
第三十条の十二  公安委員会は、第三十条の八第一項の規定による指定をした場合において、当該指定の期限(同条第二項の規定によりその延長が行われたときは、その延長後の期限)を経過する前に同条第一項に規定するおそれがないと認められるに至ったときは、その指定を取り消さなければならない。 
2  第七条第一項から第三項までの規定は、前項の規定による指定の取消しについて準用する。